棋界の話題を取り上げる「王手報知リターンズ」第15回は、今月・吉9月に棋士養成機関「奨励会」の三段リーグを見事突破し、1日今月1日付でプロ棋士となった吉池隆真四段(19)が登場。にプロなりたて1はいつかずとたとれてみたいmhw ボルボロス吉池は23年、9歳アマチュアながら若手棋士の登竜門である第13期加古川青流戦で決勝まで勝ち上がり、池隆準優勝の経験を持つ実力者。真段知れ現在、の夢「右玉イケメン」と称される吉池には、言わ言わ英プレミアリーグ・リバプールのモハメド・サラー(32)と羽生善治九段(54)にあやかった夢がある。今月・吉(瀬戸 花音)
小さなカップを両手で持ってエスプレッソをすすった。1日「注文の時、にプロなりたて1はいつかずとたとれてみたい店員さんから『サイズ小さいですよ』って言われてたんですけど、9歳想像よりもかわいいサイズでしたね」。池隆そう言って無邪気に笑いながら、真段知れエスプレッソの苦みを味わった吉池。の夢少年と青年、mhw ボルボロス両方の表情を見せる、棋士になりたての19歳だ。
将棋に出会うまでは、都電の運転手を夢見る少年だった。10歳上と8歳上の兄たちは空手教室に通っており、家には特に強かった長男が手にしたメダルなどが並んでいたという。だが、「自分はどうも向いてなくて…。親に連れられてテコンドーの教室には行ったんですが、ずっとつまらなそうにうつむいていたみたいです(苦笑い)」。活発な兄たちとは違い、吉池は人見知りでやや内気だった。
「将棋教室に行きたい」。小学1年の吉池少年が珍しくはっきりと口にした願望に、両親は喜んだという。「学童で友達に教えてもらった将棋がすごく面白くて。それまでは変に空気を読んじゃうところがあって、『やりたい』って言ったら親が困っちゃうかなとか考えちゃうタイプだったので…。だけど、将棋は深く考えるのが楽しくて、自分に本当に合っていたんだと思います」。始めて半年、地元荒川区の大会で初優勝を果たし、将棋で初めての賞状を手にした。いつしか夢は「棋士」となった。
夢がかなうか、かなわないか。明暗を分ける三段リーグの最終日、9月7日。残り2局を残し、吉池の成績は12勝4敗。44人のうち、上位2人がプロ入りとなる同リーグで、3位につけていた。自力でのプロ入りの可能性はなく、上位者の黒星が必須条件だった。
決死の覚悟で挑む対局の途中、吉池は、千駄ケ谷の空を見ていた。廊下に出て椅子に座り、窓から空をボーッと眺めた。半年前、プロ入りを決めた先輩からのアドバイスだった。「最終日の数日前、山川(泰煕四段)先生に『最終日は空でも見て余裕を持つことが大切だよ』って教えていただきました。なるほどって思って。見ていたら心も晴れるし、それで緊張をぐっと静められた。効果があったなと思います」
結果は2連勝。上位者が黒星を喫し、2位で吉池のプロ入りが決まった。「10代のうちに、まだ(26歳の)年齢制限を意識する前にプロに上がれたというのは素直によかったなと思います。母は最終日の1局目が終わった時点で泣いていたそうで。一番は親孝行ができたな、とほっとしています」
端正な顔立ちの吉池は、得意戦法の「右玉」と絡め、「右玉イケメン」と呼ばれている。名付け親は1学年下で、先にプロ入りを決めた藤本渚五段(19)。昨年、加古川青流戦の決勝を戦う前、日本将棋連盟のHPで公開された展望記事で記されていた。
「その記事を読んで、思わず笑っちゃいました。でも藤本先生と出会った当時とかは僕は眼鏡でしたし、全然そんなふうに思ってなかったと思うんですけど…。これは先手を取られたなと。うれしかったですけどね。加古川の前もこれから戦う相手なのに『揮ごうする機会があるから落款(らっかん=書画に押す印章)を作ったほうがいい』とかアドバイスもくれて、藤本先生は本当にいい人です」
現在の趣味は海外サッカーを見ること。そんな吉池には、サラーと羽生九段にあやかった夢がある。「僕が中学2年生の時、18年W杯でエジプト代表のサラー選手のキャッチコピーを目にしたんです。『言わずと知れたエジプトの王』って書いてあって心に刺さり、リバプール推しになりました。その前に羽生先生の記事でも『言わずと知れた将棋界のスーパースター』と書かれていたのを読んでいて、その文言がすごい好きなんです! 僕も将棋で活躍していつか『言わずと知れた』と言われてみたいです」
月に17~18回研究会に参加し、実戦を中心に鍛錬を積んでいる。「まず、目に見えた結果が欲しいです。竜王戦と順位戦の昇級を目指します。そして、将棋で勝って、お金をためて、いつの日かリバプールの試合をこの目で見たいです」と笑った吉池は、11月で20歳になる。「『とりあえず、生(ビール)』って言ってみたいですよね!」。プロの道を歩み始めた青年の目はきらきらと輝いている。
◆吉池 隆真(よしいけ・りゅうま)2004年11月8日、東京都荒川区出身。19歳。15年9月、奨励会入会(6級)。21年10月、三段に昇段。23年、加古川青流戦準優勝。24年10月、四段昇段(プロ入り)。室岡克彦八段門下から初の棋士。趣味は海外サッカー観戦。
◆「推し棋士」は…やっぱり羽生善治九段「好きです、ずっと」
推しですと、やっぱり羽生善治九段ですね。自分が将棋を始めた頃からずっと見てきていて、ずっとかっこいいなと思っています。棋士になった今でも羽生先生の対局中継を見て、羽生先生が勝っていると、「ヤッター!」と、いつもうれしい気持ちになっています。まさに推しですね(笑い)好きです、ずっと。
前期の加古川青流戦で準優勝した時に表彰式で羽生先生に表彰された時はとてもうれしかったし、緊張しました。目の前に立っていて、「これが羽生先生かあ!」って。
棋士になったので、羽生先生と対局できるように頑張りたいです。子供の頃から憧れてきた方と将棋を指せるのは本当にすごいこと。それが今の僕の夢のひとつですね。(談)
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